『わたしがいどんだ戦い1939年』あらすじと読書感想文の書き方2例 

こちらでは
2018年の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」高校学校の部の課題図書
『わたしがいどんだ戦い1939年』の「あらすじ」と読書感想文の書き方のポイントをご紹介いたします。


わたしがいどんだ戦い1939年(評論社)
著者:キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー・作 大作道子・訳
374ページ
本体価格:1,600円
ISBN978-4-566-02454-0

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『わたしがいどんだ戦い1939年』簡単あらすじとこんな人にオススメ
『わたしがいどんだ戦い1939年』のあらすじ(ネタバレ)
『わたしがいどんだ戦い1939年』の読書感想文のポイントと書き方事例2

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『わたしがいどんだ戦い1939年』簡単あらすじとこんな人にオススメ

作品概要

足の悪いエイダは母から疎まれていたが、弟と一緒に疎開したことから、理解者に恵まれ、心を開いていく。少女の戦いを描く感動作。

内容(「BOOK」データベースより)
一九三九年。二度目の世界大戦さなかのロンドン。足の悪いエイダは、けんめいに歩く練習をしていた。歩けさえすれば、弟といっしょに疎開できる!―自分らしく生きるために戦う少女と、彼女をあたたかく包む村の人たちをえがく。二〇一六年のニューベリー賞次点作。シュナイダー・ファミリーブック賞受賞作。

 
読みやすさ★★☆☆☆
感想文の書きやすさ★★★☆☆
翻訳のわかりやすさ★★★☆☆

【読書感想文2018課題図書】高校生の簡単!読める!書ける本の選び方

こんな人におすすめ
・イジメ、虐待、パワハラなどの問題に興味がある
・自己肯定感、自己否定感について学びたい
・自分らしく生きる方法を知りたい
・心に受けた傷の回復の仕方を知りたい
・傷ついた人の癒し方を知りたい
                など

『わたしがいどんだ戦い1939年』は…自分を取り戻す戦い
身体の障害を原因に母親から虐待される…という、明るいテーマではありません。
いわゆる毒親から「人間性」を否定された少女エイダが、自分を取り戻し、生きる希望を取り戻すまでの戦いのお話で、もちろん、ハッピーエンドで終わるのですが、その過程を楽しむ本とも言えます。
人間は言葉で人を殺すことができます。毒親からの虐待、イジメやパワハラなど狭い世界の中で悪意を浴びせ続けられた人間は自分が何者かわからなくなります。
ここでの戦いは「何者も自分を否定する事を許さない」自分の人間性を取り戻す物語です。「赤毛のアン」のアンとマニラもしくは「奇跡の人」のヘレンケラーとサリバン先生ようなテイストが少々ありますが、ここではもっとイジメられた人間のトラウマや認知の歪みが痛々しく感じられ、主人公エイダのようなトラウマを抱えた人間が現状を克服するまでの変化の過程に、読み手はイラつきます。ですがこの過程を得ないと心の痛みは克服できないものなのか?と感じたとき、人の心を傷つける行為はあってはならないことなのだと思い知らされます。

もし、身近に「あの人は変わっている」とコミュニケーションが取りにくい人物がいるとしたら、その人物に培われてしまった「間違った思い込み」があるのではないか?もしくは自分自身がそんな当事者だったり、加害者だったり、手助けしたい立場だったり…と非現実とは言い切れない心の痛みとの戦い方を垣間見るのが本書になります。

本作はアメリカ人作家の翻訳本ですが、翻訳のわかりやすさとしては「日本語の文章としてはフレーズ前後させた方が良くない?」と感じる箇所は要所にあります。強引な翻訳はありませんので、片目をつぶれるレベルです。 
  

  

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『わたしがいどんだ戦い1939年』のあらすじ(ネタバレ)

本書には目次は番号でしか打たれていませんが、読後の印象として以下の章にこれらの、イメージタイトルを付けました。
大きな変化は、29~31、41~46になります。前後の過程も大切なのですが、29章から最後まで読むと大体の内容が把握できます。
もちろん物語の世界観はまるごと一冊読まないとニュアンスは伝わりにくいのですが、前半はエイダの反抗的な態度が鼻につくのは間違いないです。
※本作は続編出版予定とのことです。

1~8・虐待される日々からの脱出
1939年ロンドン
その夏、わたしは”戦い”をはじめていた。
エイダは(たぶん)10歳で、母さんはエイダを「見苦しい足の怪物」と言うが右足が足首のところから内側にねじれている内反足という状態で歩けないのだ。
母さん曰く「奇形」のエイダはみっともないので部屋から出してもらえない。
窓の下を通る人に声をかけると、母さんにどなられ、いすから落とされ叩かれる。
学校にも行かず、いつも空腹で、罰を受ける時は、ゴキブリがはう戸棚に一晩入れられ、そんな時は頭の中の世界に逃げ込んだ。

母さんは夜の仕事なので、エイダが弟のジェイミーをおむつのころから世話をしてきた。
ジェイミーが外に遊びに行くと、取り残された部屋はまるで牢屋だった。
エイダはジェイミーと一緒にいられて、母さんがエイダを恥ない為に、歩く練習をすることを思いつく。
それは皮肉にもヒトラーの戦争がきっかけでエイダに自由がおとずれることになった。

1939年、第二次世界大戦の瀬戸際のころ、6歳のジェイミーの学校では、子供を疎開させることになり、エイダはジェイミーと離れたくないあまり、母さんの靴を盗み、やっとの思いで歩き、共に疎開することにする。
途中、窓の下を通るスティーブン・ホワイトの家族と会い、エイダは足ではなく、頭が足りない子だと思われていたと知る。エイダは「自分の足が悪いのは、わたしがなにかしたせい…」と母さんに言われたことをスティーブンに言うと「おかしいよ」と言われたことに初めて疑問を感じた。

疎開先で、痩せこけて不潔でみすぼらしい2人はあずかってくれる人が決まらず、婦人義勇隊のソードン夫人が強引に一人暮らしの女性、スミスさんに預けることにした。その家にはポニーがいて名前をバターといい、エイダはその馬にあこがれた。
「子供の面倒見た事がない」「わたしはちっともいい人じやない」と言いつつ彼女は2人を風呂に入れ、エイダの足を内反足だと言い、足の血で汚れた床を掃除し、手当てをし、清潔なベッドと食事を用意してくれ、エイダの足をお医者さんに見せてくれた。
お医者さん曰く「矯正に成功していない」足は自分がいけないことをしたように聞こえたので、頭の中にポニーのバターを思い浮かべて、意識を逃避させた。専門医なら手術出来ると言われても、「専門医」が何かわからないエイダ。スミスさんは手術の許可を取る手紙を母さんに書くことにし、エイダは松葉杖を使うようになる。

9~13・いい人じゃないのに世話をして教えてくれるスミスさん
スミスさんは、どっさりと食べさせてくれ、はじめて自分の靴をくれ外出も許された。
姉弟の争いは止めに入り、お風呂も柔らかいパジャマという新しい服も用意されて、ジェイミーを寝かせた横で椅子でうとうとしている。でもエイダは「この人はいい人じゃないんだ」と自分に言い聞かせる。
スミスさんは亡くなった友人ベッキーの遺産で暮らしていて、寒くなる秋から冬は具合が(鬱っぽく)悪くなるので、あなたたちを預かりたくなかったという。バターもベッキーの馬だった。

ドイツと戦争状態に入り、家の隣に軍の飛行場ができた。
スミスさんは食事量も減らさず、バターとも好きに遊ばせてくれ、モノの名前や食事のマナーも教える。
ジェイミーはホームシックで毎晩おねしょをするがエイダは二度と家には帰りたくないと思うようになった。子供を預かるとお手当てが出るらしいが、親に連れ戻される子供もいて、ジェイミ-は激しく帰りたがるがエイダは自分がロンドンに帰ればどんなひどい目にあうかすごいけんまくで言って聞かせた。

村の中心には戦争宣伝ポスターがあり「あなたの勇気、あなたの明るさ、あなたの決意が、われらに勝利をもたらす」とある。
スティーブン・ホワイトは、兄妹以外自分ひとり疎開先の盲目のマクファーソン大佐の元で彼の世話をする事を望み残ることにした。
エイダは大佐に握手させられたとスミスさんに言うと「それはただの挨拶…疑り深い子ね」と言われ「あなたの勇気、あなたの明るさ、あなたの決意が、あなたに勝利をもたらすのよ、エイダ」と言われ、「自由」「尊重」など言葉を知らないエイダが、言葉の意味を聞く事にウンザリしていると「勝利とは平和のことよ」を教わった。

14~20・「無知の知」学びと愛情を素直に受け取れないエイダ
疎開先でジェイミーの学校が始まったが、エイダは名簿に名前もなく学力もないので断られる。悔し泣きをするエイダをスミスさんはかばい、慰め「スーザンと呼んで欲しい」といい、その夜から本の読み聞かせを始める。
エイダには学習能力はあるし、文字を教えようか?と言うが、言葉も世の中の事も何一つ知らない自分を思い知らされ文字を教わる気になれない。エイダはバターを丁寧にブラッシングするのとスミスさんがエイダの髪をとかすのが似ていると感じる。

2人が学校で留守の間に、エイダはソールトン婦人(婦人義勇隊隊長)のお金持ちの娘マーガレットの落馬したところを助けて、馬の世話をするグライムズが内反足の馬の足を治したと聞き衝撃を受ける。
スミスさんはエイダが夕方帰らなかったのはマーガレットを助けたからとの理由を信じず、心配して怒っていた。エイダは心配して怒りつつ、寝しなの読み聞かせをするスミスさんは不思議だし、ジェイミーがスミスさんに甘える感じに怒りを感じた。
ソールトン婦人はマギーのお礼に来て、お下がりの服と「(バターを乗りこなすためには)ねばり強くやりなさい」とアドバイスをする。スミスさんはマギーの件を謝り「自分を守るうそはうそつきじゃなく、必要もないのにうそをつく人はうそつき」と教えてくれた。

ジェイミーは学校に行くのを嫌がるが理由はなさない。飛行場のパイロットや、スミスさんにも甘えるようになり、エイダは自分以外になぐさめられている姿にあっけにとられた。
スミスさんは母さんから手紙の返事が来ないと腹を立てるが、エイダはスミスさんが自分たちをロンドンに返したいから手紙を書くのだろうとスミスさんに腹を立てた。
戦況は進み、屋内に灯火管制用の黒い布を張る事になった。
スミスさんはミシンでエイダにベルベットの服を作ると言うが「上等な服を着るには自分は頭が足りないおろかな子」と提案を嫌がる。そして「あなたは私たちを手放せばうれしいはず」と嫌味を言う。

スミスさんはジェイミーが手首にムチの跡があるのを見つけ、左利きをなおすために縛られていたことを知り、猛烈に抗議する。スミスさんはジェイミーが左利きなのを気づいていた事や、内反足は悪魔の記ではないし、お母さんが内反足が理由でエイダを嫌うなら間違っていると言い、これまで自分にこれほど正直にモノを言ってくれた人はいなかったと思うものの、エイダは母さんの話はしたくなかった。

スミスさんは誕生日のわからない2人に、ジェイミーにはスミスさんの父親の誕生日を、エイダには亡くなった親友ベッキーの誕生日を仮につけたり、スティーブンとマクファーソン大佐がお茶会への招待状をくれたが、読めない自分に腹が立ち、字を教えると言われても、学ぶ能力がなかったら?と思い、断りの手紙も書けない事に苛立ちを募らせた。機嫌が悪くジェイミーを泣かせたエイダもスミスさんは抱きしめてなぐさめてくれた。

21~26・愛情になれてはいけないと思うエイダと2人に愛情を感じるスミスさん
「助けがいるときは相談して」とスミスさんは言うが、それをはねのけるエイダ。バターが走るようにならないのでグライムズ(フレッド)さんに見せると、ベッキーの死後、スミスさんがほったらかしで蹄がのびていたのが原因だった。帰り道に道に迷い始めて海を見た事やバターの件でスミスさんに抗議し腹を立てていた。
スーザンは映画にも連れて行ってくれた。宗教を教えない事に責任を感じてたと教会にも行かされた。スーザンの父はスーザンを嫌っているという。ジェイミーは「エイダは母さんに嫌われているから、あがなわれないよ」そして見苦しい足と言った事でスーザンはジェイミーを叱った。

フレッドの手伝いをするようになったエイダは、蹄を切って走るようになったバターの乗り方を教わった。スティーブンからまたお茶会の招待状もきたがまた断って、スーザンは「ばかな子ね」とつぶやいた。
戦況に関する知らせが増え、食糧輸送船が滞り、食料も高騰してきた。だが爆撃はなく疎開をやめてロンドンに帰る児童もいることにソールトン夫人は「思慮の浅い親たち」と渋い顔をした。
夫人はスーザンを婦人義勇隊への入隊を誘いに来た時、村に人と付き合うように言い「スーザンは、まわりのことを気にかけないですよ」と言ったエイダにスーザンは取り乱して取り消すようにせめ立てた。

仕事をしてない事に関しても、オックスフォードを卒業してもこの村には女の仕事はないと怒り、なじめそうにないと義勇隊の制服を着て初めての会合に行く留守の間、エイダはスーザンのミシンを壊してしまった。
エイダはどうしていいかわからず、お腹もぐるぐるして震えながらベットの下に潜り込んだ。スーザンにつかまり「私を送り返すんだ」とパニックになる。スーザンは叱るわけでなく怯えるエイダを抱きしめ「今、あなたが家にいてくれることをうれしいと思っている」と話す。

ジェイミーは勝手に猫を飼いだし、それ以来おねしょはしなくなった。
スーザンにまんまとのせられて、字の書き方を教わったり、フレッドには昔の貴婦人が使った横鞍をもらったり、マギーからの手紙を読んでもらいクリスマスに帰って来るので一緒に馬に乗りたいと書いてあった。
エイダは、ここでの生活が部屋に閉じ込められず、バターがいて、松葉杖があり、暖かく清潔な服やお風呂、三食食べれて、猫も海もある生活も母さんが迎えに来たら全部なくなるのだから、慣れ過ぎてはいけないと思う。そして母さんは本当は私を愛さなきゃいけないし、スーザンはたまたま世話をするハメになっただけだし、エイダ達がやらかしたことへ愚痴を言う。でも遅く帰ったエイダに家に入るように言い怒りながらバターの世話をしに行くスーザンを見て、母さんがスーザンみたいだったらいいし、スーザンは母さんじゃないから心から信頼するわけにいかないと思うのだった。

27~28 周囲から「幸せ」を認められ、慣れないように気を引き締めるエイダ
エイダはまた病院に行き、背も伸びて体重も増え清潔で健康になったと言われる。
スーザンは母さんを(足の件も含め)クリスマスに招待したというが返事はない。先生は「外科的介入が不可欠」というがエイダは意味がわからない。が、スーザンは足に良いマッサージを毎晩したり、しもやけになりそうな右足に室内履きを作った。
他にもミシンでジェイミーとエイダの服をどんどん作り、エイダには手縫いを教え始めた。そして帽子やマフラー乗馬用ミトンも編んでくれた。
牧師さんたちとスティーブンが防空壕を作りに来てまたお茶会に誘われた。スティーブンはほとんど目が見えない大佐の介護をしたくて残ったのだった。そしてエイダを母親が迎えに来ない事を「ちょうどいいじゃないか、とじこめるなんていけないことだよ」「足は変わってないけど今は閉じ込められていない」と言った。防空壕はロンドンの戸棚のようで、鳥肌が立ち、見ているとお腹がぐるぐるしてきた。

寒くなりバターは運動のし過ぎで痩せてきて、木の葉の色が変わ落ちたことに驚いた。スーザンはジェイミーとエイダが何も知らなくても、驚かなくなりモノを教える時は事細かく説明する。スーザンは冬になると気持ちが沈むので、忙しい中無理をしているのがわかった。それでもエイダに文字の書く練習を教えてくれたので、スーザンにちょっとしたメモを残せるようになった。
クリスマスは素敵な過ごし方をしましょうとスーザンが言うのでジェイミーは母さんを呼ぶために手紙を書くという。スーザンは字を書けるようになったエイダを抱いて「書かなくてもかまわないわ」といった。
クリスマスにジェイミーは仲良しのパイロット3人を招待する。エイダはマギーを誘いたかったが断られエイダがマギーに手紙の返事をくれない事を怒って「スーザンに書かせればよかったのに」と言うがエイダは「あの人になれてしまうのはいやなの…本物の家族じゃないでしょ?」と言うとマギーは「本物の家族に見えるし、来たばかりのころのエイダはもう戦争を経験してきたような顔をしていた。死にそうなほど怯えた目をしてた。今は元気になり目が変わった」と言われ、エイダはその話を打ち切った。

29~31・「幸せを受け入れられない」トラウマとの戦い
マギーの言葉に、スーザンを時々ちょっとだけ本物(家族)に思えることもあるけど、それは今だけで、戦争が終わったり、母さんの気が変わればまた他人になるのだ。と思いなおす。
スーザンはクリスマスツリーを買ってくる。
クリスマスを楽しむこと自体、自分には許されない気がしておびえるのだがマギーは「スーザンが絶対プレゼントくれるから、あなたも用意した方がいい」と言われフレッドから亡くなった奥さんの毛糸をもらい、スーザンとお互い内緒でプレゼントを作ることにした。

スーザンがエイダにくれたのは深緑色のベルベットのきれいなワンピース。
ワンピースを着たスーザンの誉め言葉が信じられず、頭の中で母さんの金切り声が響いた。見苦しい役立たず!見苦しい足の子、汚らしい、ゴミ。エイダは耐えらず、パニックになり悲鳴を上げ、叫び続けスーザンは毛布できつくエイダを抱きしめ続けた。

目覚めると暖炉の前で3人は寝ていて、スーザンの頬にはエイダが引っ掻いた痕、ブラウスの方は破れボタンも取れかけてた。クリスマスを台無しにしたけど、スーザンはきっとぶたないし、怒らない。どうしていいのかわからず泣きたい気持ちのエイダに2人はにっこりと「おはよう、メリークリスマス」と言った。悪い子だったというエイダにスーザンは「悪いことはしてないわ、悲しみ、怒り。おびえ。そういうものは悪い事とは違うわ」
スーザンは2人にクルミやキャンディ、サテンのリボンのクリスマスプレゼントをくれて、また泣きたくなった。
エイダもスーザンにマフラーをプレゼントした。夜には招待したパイロットたちが来たので緑色のワンピースを着た自分を詐欺師のように思った。

32~33・気づきと怒りと期待
1月には配給が始まり、食料不足に不安になった。
エイダを「好きに決まってるじゃない」と言うスーザン。
エイダはいろんなことに怒りを感じはじめていた。スーザンが今だけの保護者であること。母さんが気にかけてくれないこと。フレッドがプレゼントしたマフラーを毎日使ってること。マギーが鏡の国のアリスをすぐ貸してくれて、自分と同じ筆記体で手紙を書いてくれたこと。戦争が母さんが私たちを好きだと気づく前に引き離したこと。そして家を離れて大喜びしている自分にも怒りを感じた。そして初めてスーザンから「足を治す手術」という言葉に向き合わされた。

足を治す手術はほとんどは赤ちゃんの時に治療を受ける事、そうすれば完全に治っていた事。母さんが手術の同意の返事をくれない事を知り、スーザンが何度も母さんに手紙を書く理由を誤解していた事とやっと知った。ずっと自分のせいだと思っていた足の事が悲しく、初めて母さんに足を治すゆるしの手紙を書いた。

34~36・足へのジレンマと心の成長  
手紙は母さんが引越ししたため、返送されてきた。
ジェイミーは戦争が終わっても母さんが迎えに来なかったら?と聞いてくる。
「前から母さんじゃなく私が世話をしていました」と母さんに物凄く腹を立てながらも頭の中でさえ大嫌いと言えない。足が治ったら母さんは私を好きになるかもしれない。普通の人みたいに、松葉杖なしで歩き、学校に行き、靴を履き、もう閉じ込められたくないとエイダは強く足を治したいと望むが親の許可がないと手術できないことにしゃくりあげて泣く。スーザンはエイダを抱きしめた。

冬の寒さが厳しくなったころ、スーザンは来年は学校に行くべきと算数と歴史も教わり、3人それぞれ生活のリズムが整い大佐からのお茶会の誘いにも恐怖を感じず行くことが出来た。大佐からはそこら中にドイツのスパイがいるから監視せよと言われた。復活祭の休暇のマギーの帰省中、エイダの仮の誕生日にはスーザンはまた新しいワンピースと本に「愛をこめて」と書かれくれた。マギーはバターに似ている木彫りのポニーをくれた。

ドイツの勢力は益々強まり、村に飛行機で攻撃されたダンケルク撤退作戦のイギリス船が着き、婦人義勇隊のスーザンは介護に出向くことになった。じっとしていられないエイダは、村の中心へ出かけパブの少女デイジーと負傷兵に水を飲ませ続け、目の前で兵士が死んでいくのも見た。エイダは辛いこの体験を投げ出さなかった自分は強くなったと感じた。

37~40・愛情の喪失
村の子供を疎開させる人が増えたが、スージーはエイダをふさわしくない人と暮らさせたくないと抗議した。スーザンは放任主義の自分のやり方をどう思う?聞かれわからないと言いつつエイダはスーザンに寄り掛かった。

7月に初めての空襲で防空壕に入り、ロンドンの戸棚を思い出し毎回パニックになった。最初の空襲以来毎晩のように非難する日が続いた。この状況に疎開も視野に入れるスーザンだったが、またロンドンに送り返されることを想像し「爆撃よりひどいものがあります」とスーザンに言った。何週間かたつと防空壕にもなれてパニックを起こさなくなった。そして砂浜でスパイらしき人物をみつけてエイダは村のちょっとしたヒーローとなり、人々に愛されてるみたいに感じた。9月村で注目を浴びなくなったころ、エイダはついにバターを石垣をジャンプさせることに成功した。その日母さんがやってきた。

41~46・母親との戦いそして勝利
母さんはエイダに「何様だと思ってるんだい?」と手術の件、疎開先へ支払う手当、スーザンが人の子供の手術の事で指図してくること、その子供がめかしこんでポニーに乗り、自分の方が母親より上というような顔をしていると怒りまくる。
スーザンがどんなに反論しても聞く耳を持たないので「ここにいていい…警察に行く」というが、ジェイミーは母さんに閉じ込められたことがないので、母さんから引き離すことができない。ジェイミーだけをロンドンに帰せないとスーザンにさよならも言わずロンドンに母さんと帰る。

母さんは松葉杖で奇形を見せて歩かないように言い、乗馬用ズボンを履かせてエイダを人前にさらした図々しい女と言うので、思わず「足が悪いと頭も悪いわけじゃない」と言ってエイダは平手打ちされ倒れた。
ロンドンの家にはネズミがいて、トイレ用のバケツが用意され「お前は奇形だから部屋を出てはいけない」「はむかったら罰を受けるのはジェイミーだ」と脅して飲みに出かけた。
ジェイミーが「どうして母さんはあんなに怒ってるの?」に母さんに愛されない奇形の自分のせいにも思えた。
だが、母さんは足を治そうとせず奇形のままでいさせたい事をおかしいと思った。スパイを捕まえ、バターにも乗れて、読み書き、裁縫、兵隊さんも助け、友達もできた。スーザンはエイダとジェイミーを大好きだ。エイダは眠りにつきながら自分が何と戦っているのか、なぜ戦っているのかがわかった。そして自分が強くなったこともわかった。

母さんは松葉杖を捨て「手術の話が出たが何か月も赤ん坊をとりあげて、全部払えという。金と子供をどうすればいいのか誰も教えてくれなかった。どうせうまくいかなかった」と手術をしなかったことを話した。
そしてエイダとジェイミーの配給手帳をよこさなかったと怒り、ジェイミーと出かけた間、2人の出生証明書をみつけた。
エイダは「母さんは2人を預けているとお金がかかるから迎えにきたのか?」と聞き「今からでも足を治せば母さんは恥ずかしく思わなくなる」と言ったが「金を出す気も足が治ることも信じない、そもそも死んだ父親が欲しがったから産んだけど最初から2人とも欲しくなかった」と母さんは言った。
そしてエイダを閉じ込める時見せる笑顔で「金を払わず、お前たちを手放せるんだね?」と言ったのでエイダは出ていけることになりこの会話を一生忘れないと思った。

ジェイミーと2人で泣きじゃくり、これまでに感じた足の痛みよりもひどいぐらいに心が痛んだ。出征証明書をポケットにしまったところで空襲警報が鳴り、なんとか防空壕に逃げ込めた。町は破壊され朝になりジェイミーは「(スーザンの)うちに帰りたい」と言った。その時瓦礫をかき分けながらスーザンがこっちに迎えにきた。
スーザンは「規則(法律)はどうあれ2人を引き取るべきだと気づいた。2人がわたしのもとにいたのも事実だから」という。
やっとスーザンの村に帰った時、スーザンの家は爆弾が落ちなくなっていた。村の半分の人がスーザンを瓦礫の中から探そうと集まっていて、みんながかけより、ソールトン婦人はスーザンに抱きつき泣き出した。
バターも猫のボブリルも無事だった。スーザンは「あなたたち2人が私の命を救った」とエイダの手をにぎった。これまでにない思い、愛のようなもの…幸せを感じ「わたしたち、命を救い合ったんですね」と言った。
   

『わたしがいどんだ戦い1939年』の読書感想文のポイントと書き方事例2

読書感想文・用紙と字数のルール その他の詳細

原稿用紙を使用し、縦書きで自筆してください。原稿用紙の大きさ、字詰に規定はありません。
文字数については下記のとおりです。

高等学校の部 本文2,000字以内

※句読点はそれぞれ1字に数えます。改行のための空白か所は字数として数えます。
※題名、学校名、氏名は字数に数えません。

 
応募のルールについての詳細はこちら⇒ 「青少年読書感想文全国コンクール応募要項
 

『わたしがいどんだ戦い1939年』の読書感想文の書き方の事例1・2144文字
「戦い」という言葉には穏やかじゃないイメージを感じるものです。でも戦う人にその理由を問うと「自分の正義の為」と答える人が多いのかもしれません。
1939年は第二次世界大戦が始まり、世界中が大きな戦火に巻き込まれたこの時代に、主人公のエイダは自分を取り戻す戦いを始めます。

 生まれてから10年間エイダは、母親から「奇形」という言葉を投げつけられて育ちます。
内反足の足(この時はエイダは症状名を知らない)の姿を外に見せるなと外出は禁止され、教育、愛情は与えられず、わずかな食事と母親からの罵倒の言葉のみで「自分は恥ずかしい存在なのだと」思い込まされて生きてきました。「自分が歩けるようになれば母さんも恥ずかしく思わなくなるかもしれない」と激痛に耐えながら歩く練習を始めます。そしてエイダの唯一の希望、弟のジェイミーが戦争疎開することとなり、絶対失いたくない弟について疎開するのです。
 
 2人とも薄汚く痩せこけた惨めな子供で、疎開先の人は誰も2人を引き取りがりません。2人を強引に任されてしまったスーザン・スミスはエイダがこれまでの人生で味わった事のない当たり前の暮らしと平和や愛情、自由をくれることになるのです。たっぷりの食事や清潔で柔らかな衣類や寝具、医療、誰からも罵倒されない子供が受け取る当たり前の環境をくれます。
「引き取りたくなかった」「私はいい人じゃない」の言葉はエイダにスーザンの親切を信じない「逃げ道」のフレーズとします。

結婚も子供を持つ人生も望んでいなかったスーザンは自らも父親から嫌われ、親友を失い孤独な女性でした。だからこそ彼女は愛して尽くせる対象は生きる希望となり、平和な生活を、受けるべき教育、娯楽、保護者としての心配する気持、エイダ達がやらかした失敗を怒りながらの後始末、クリスマスの特別なプレゼント、誕生日も決めてくれ、困難な足のエイダの存在をそのまま受け入れる愛情など与えられるものを捧げたのだと思います。
ですがエイダがこれだけ尽くされても、感謝するどころか何かにつけてスーザンに「引き取りたくなかったんでしょ」と反抗的な態度を取り、不愉快さと怒りを感じるのですが、クリスマスの深緑色のベルベットのきれいなワンピースをプレゼントされ、パニックに陥るエイダを見て気づくのです。今までのエイダの態度はトラウマが原因だったのだと。

 マギーは「来たばかりのころのエイダはもう戦争を経験してきたような顔をしていた。死にそうなほど怯えた目をしてた。今は元気になり目が変わった」と言い、スティーブン・ホワイトはエイダが「足は変わってないけど今は閉じ込められていない」との言葉にエイダが受けてきた虐待はあってはならないことだと自覚し仕出し、今の幸せはロンドンに戻れば失い、再びあの生活に戻るのだから、慣れ過ぎてはいけないとスーザンに心の壁を作っていたのです。

「子供は親を選べない」と言います。どんな親でも子供はやはり親を求めてしまうものです。ですがエイダは母親に対してかすかな期待も残していたと思うのです。この虐待生活は「自分が奇形で恥ずかしい存在だから」「私が悪いんじゃなく、私の足が悪いのが原因」だから、足が治れば愛情がもらえるのだとエイダは信じたかったように見えるのです。

ところがスーザンは「見苦しい足の子」のエイダでも何の条件も付けず、純粋な愛情の象徴のような深緑色のベルベットのワンピースをプレゼントし、本当はエイダのような子でも祝福される権利があると、認めざるを得なくなります。「ではなぜ母さんから殴られてきたのか?」ワンピースはエイダが虐待を受ける理由などないことを感じさせ、母親の愛を乞うことへの最後の希望を崩壊させるものだったのだと思います。それらの気付きは張り詰めてきたエイダの悲しみ、怒り、おびえを噴出させたのでした。

人は怒りや悲しみ、恐怖などの感情に捕らわれると、他の感情を受け入れることができなくなります。それらの感情を吐き出したエイダはこれまでより冷静で利口になり勇気を持ちます。友情や愛情を受け入れることができるようになり「足を治したい」と母親に願望したのです。
エイダの願望は母親にとっては単なる生意気な反抗とした取られません。この母親は世間の人間は皆自分を騙そうとしていると受け止め、金を搾取すると怒り、子供など産みたくなかったと誰もが嫌悪感を感じる言葉を並べます。エイダは深く傷つきながらも母親の呪縛からの解放の為の戦いに勝つのです。同情はできないものの、この物語で最も不幸な人は悲しい思考を持つエイダの母親なのだと思います。
子供には反抗期は不可欠です。反抗期があるから子供は親も一人の人間だと知り、自身が大人になる自覚を持つのです。エイダは若干11歳で母親と対峙し「親を選び直した」と言ってもいいのかもしれません。
現在、一般的には豊かな親元に産まれ育った子供の方が学力も含め有利に働くと言われ、貧困家庭の子育ても問題になっています。ただこの物語を読んで感じたのは貧富に関係なく親子間に愛情だけは不可欠ということです。愛情を信じられる子供は自分の生き方を信じられます。悲しく厳しい物語でしたが、大切な生き方に気が付いたような気がします。

『わたしがいどんだ戦い1939年』の読書感想文の書き方の事例2・1039文字
参照:ぱせりの本の森
11歳のエイダ(当時、自分の歳さえも知らなかったのだが)の右足は先天性の内反足で、歩くことができない。
生まれてすぐに治療していれば良くなっていたのだ。けれども、彼女の母親は、彼女を一間きりのアパートに閉じ込めた。
しつけも教育も受けたことがなく、身体を清潔にすることさえも知らなかった。移動の手段は、部屋の中を這うことで、彼女は草というものがなんなのかも知らなかったし、秋の紅葉も知らなかった。

ある日、弟のジェイミーが「ロンドンは爆撃を受けるから子どもはみんな、安全な田舎に疎開することになった」と聞いてきた。「わたしはどうするの?」と尋ねるエイダに、母親は言う。「この部屋から動かずにいるのさ。爆撃があろうと、なかろうと」…それで、エイダはジェイミーといっしょに逃げ出したのだ。彼女はこっそり立って歩く練習をしていたのだ。
原題は“The WarThat Saved My Life”「私の命を救った戦争」人生を奪いとる戦争が、まさか虐待されている子どもを解放することになるとは、なんという皮肉だろう。子どもたちが受けていた虐待は、戦争以上に酷いものだった、ということか。

エイダとジェイミーを預かったスーザンは、大切な人を失い、自分の面倒さえ見られない状態だったが、子どもたちの世話をするうちに、変わっていく。けれども、それで一足飛びに「よかったね」にならないことと思い知らされる。

遠くにいる母を思い、「~したら、母は私に笑いかけてくれるだろうか、やさしくしてくれるだろうか」と考えるエイダが不憫でならない。同時に、自分がだれかに愛されるわけがない(ずっと母親にそう言われ続けていた)と思い込み、スーザンの愛情をまっすぐ信じることができない。スーザンとは近い将来離れなければならないとの思いから、彼女に思いを寄せることも、必要以上の庇護を受けることも拒否する。閉じ込められていた頃の記憶が不意によみがえり、そのたびにパニックを起こす。彼女を思う友人たち(魅力的な村の人々!)に囲まれて、いまや自由も、愛情も得たのに、彼女の一部は、ずっと閉じ込められたままでいるのだ。

普通の時代ではなかった。
村の子も疎開児童も、否応なく、戦争にまきこまれていく。イギリスがナチスと戦うさなか、エイダは、自分自身を解放するためにも戦っていた。エイダとジェイミーが心寄せる動物たちも魅力的だった。ポニーのバター、猫のボリブル。無条件に子どもたちに寄り添う彼らはなんて大きくて素晴らしい存在だっただろう。
 

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今年の高校生の課題図書は物語の扱うテーマうんぬんというより、読みずらいと言うのが正直なところ。ですが課題図書で感想文にチャレンジする姿勢は評価されます。

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